ふるさと内尾の忘備録
 
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■ 屋号(家号)について


喜兵衛という店名は、屋号をそのまま使用している・・ということを、在郷(田舎)育ちの方は
ピンとくる方もいらっしゃるでしょう。
屋号というのは、日本全国に存在する苗字以外のその家についた通称のことです。
うちの場合は普通に読むと、
「きへい」となりますが、在所で口語的には「けー」と呼びます。
ばあちゃんは「けーばあ」、主人は「けーとき」(トキオだから)、息子は「けーぼー」
そして私は、けーねえさん・けー嫁 などと呼ばれております。
(ばあちゃんが居るうちは、嫁は何歳になってもねえさんと呼ばれるのはいいですね)
内尾の屋号は、郷土史をみると明治時代当時の世帯主の名が、そのまま屋号に
使用されているケースが多く
与助、九郎平門、小右エ門、五右エ門、伊平衛、九郎、六兵衛、所帯出、孫四郎、庄右エ門、孫九郎、与三吉、新五郎、新宅、次郎・・・
昔からの住民で現在居宅があるお宅は今はこれだけですが
この他に、元住民やその親戚子孫も入ると、会話に登場する屋号はこの何倍もあるのです。
ちゃんとした苗字があるというのに、地元での特に年配者の会話中ではすべて屋号が使用される為
結婚した当初はそれが一致せず結構苦労しましたが
今では、かなり習得して何とか使いこなせるようになりました。
 開発により、冬の賑わいは別として小さな村がかつて大集落だった頃の面影はもうありませんが、
炭焼きで繁栄していた当時の皆の暮らしに思いを馳せれば
限界集落へ着々とカウントダウンが始まっている現代の
内尾の一住民として、この集落への思いがより強くなります。
これはきっと、現代も屋号を持ち、使用し続けているからかもしれません。
田舎独特のコミュニティに於いて、方言と並んで屋号(を持っているという事実)はかなり重要なものであるというのが私の経験から学んだ考察です。